リーガルリサーチに理論は必要か?-判例検索を題材に
判例検索の手法を考えるにあたって、弁護士はそもそも何故判例を探そうとするのか?について考察することは必須かつ有益です。
判例を探す理由を、思いつくままに挙げると、①法理ないし判例理論を探す、②判例理論の射程(特に限界)を探る、③自分の事件と似た事例の処理を探す、等が考えられます。もちろん、他にもたくさんあると考えられ、追々検討します。
もう少し突っ込むと、裁判官に判決で「原告の引用する判例は本件と事案が異なる」等と一蹴されないために、なるべく一般論の判示がないか?なるべく本件と似た事案がないか?を探すことが、判例検索の目的と考えるべき場合が多いとも言えます。
そうすると、判例検索でピックアップしたい判例とは、「裁判官が判例と認めざるを得ない」裁判例や「事例判決として尊重すべき」裁判例であり、検索結果から落としたいのは「事例判決ですらない」裁判例や「本件とは本質的部分の事実関係が異なる」裁判例ということになります。
この問題を検索技術論に引き直すと、「検索対象として全文と要旨に優先順位はあるか?」「あるとして具体的な検索手法はどうなるか?」「検索結果の内準備書面で引用すべき判例はどれか?」という、正に実務的に重要な問題となると考えられます。
以上のようなことから、私は、リーガルリサーチに理論は必要、という仮説を立てています。そして、その理論とITリテラシーを結びつけることが重要と考えていますが、それはまた別記事にします。