賭博罪とカジノ
カジノを特区で解禁するか否かの議論が「経済効果vs依存症等の害悪懸念」という構図で論じられていますが、そもそも我が国で賭博はどのように扱われているか、という基本を抑えることは重要です。
賭博についての原則は刑法に定めがあり、
カジノはここで言う賭博場にあたり、本来は設営したものもカジノで遊んだ者も刑事罰を課されることになります。
賭博がなぜ犯罪とされるかについては、判例が
「勤労その他正当な原因によるのではなく、単なる偶然の事情により財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」
と言っています。要するに賭け事を認めると働くことを軽視する人が増えて、社会が不安定になる、ということです。
しかし、すぐに分かる通り、我が国では賭博の禁止には多くの例外があります。例えば、競輪について
つまり、賭博は違法=社会的害悪であるとの原則を掲げつつ、経済効果目的のためには賭博を許容する、という発想自体は、我が国は古くから肯定しており(自転車競技法は昭和23年制定です)、カジノ法案ではじめて提起された発想というわけではありません。
したがって、カジノ法案の賛否の議論も、大上段に構える議論とは別に、我が国で長い歴史を持つ、競馬・競輪が現実に社会や地域にどのような影響を与え、どの程度経済効果を生んでいるか、という視点で考えることが非常に重要であると思われます。