弁護士由井照彦のブログ

法律の視点からの社会・事件やリーガルリサーチについて

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リーガルリサーチのITリテラシー

現在、リーガルリサーチをするにあたり、電子データベースの利用は必須というか不可避です。

 
したがって、リーガルリサーチにおいても、ITリテラシーが重要であるということになります。リーガルリサーチにおける技術論の中心がこの検索技術=ITリテラシーだと私は考えています。
 
ITリテラシーはリーガルリサーチ固有の問題ではなく、インターネット等を使い慣れた人にとっては常識論ともいえ、別個の問題ではない
という考えもありえます。しかし、リーガルリサーチで上手くいっていない(求める情報を得られていない)人の多くは、「普段のインターネット等の常識をリーガルリサーチに適用できていない」のではないか?との疑念が私にはあります。
 
例えば、「検索するとは情報を絞り込むこと」は、普段のインターネットでの検索(エンジンの利用)では、ほとんどの人が当然の前提としているITリテラシーだと思います。しかし、判例検索の場面で多くの人が検索結果が数百件という検索をしています。これは少しでも有利な判例を見つけたいがために、漏れを無くそうという意識が強いことが原因だと思います。
 
しかし、数百件の検索結果では重要な情報もそれ以外に埋もれてしまい見落とすリスクが高く、また、個々の重要性がわからない、という事態も引き起こすことは、通常の検索エンジンの利用と全く同じです。つまり、検索としては失敗です。
 
結局のところ、「漏れ無く、絞って」を目指すべきであり、リーガルリサーチにおいても通常のITリテラシーを発揮すべきことになります。
では、ではどうするんだ?ということになりますが、これはリーガルリサーチの理論面から考えていくことにより具体的方法が明確になってくる、というのが私の仮説です。
 
つまり、判例とは何か?事例判決とは何か?判例において重要な事実とは何か?といったことの考察から、どのような場合に検索対象を全文にすべきか?参照条文はどのような場合にどの程度有用か?などが演繹的にわかるのではないか?と考えているのです。
 
本ブログではこのリーガルリサーチの理論面と技術論(ITリテラシー)を「行ったり来たり」して検討し、時に「接合」を試みることでリーガルリサーチについて実践的かつ深く考察していこうと考えています。
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