「法律は条文文言が決定的に大事」−蓮舫氏二重国籍問題を題材に
公選法10条「日本国民は、(略)、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。」
とされています。前回も書いた国籍法によれば、
国籍法2条「子は、次の場合には、日本国民とする。一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。(略)」
このことは、外務公務員(いわゆる外交官)になる資格についての規定と比較すると明らかです。すなわち、
外務公務員法7条「(略)国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない。」
と規定されており、外交官における外国との利益相反の有無を、日本国籍の保有に加えて「外国籍を有しないこと」つまり、二重国籍者でないか否かで判断する、という立法府=国会の判断が示されています。(ちなみに、外務公務員法の規定は、日本国籍を保有する二重国籍者の資格制限を定めるほとんど唯一の規定です。
立法府=国会は法律を変えることが出来る以上、公選法と外務公務員法の文言を同じにすることは当然にできます。それをしていない以上、少なくとも立法府=国会は国会議員になる資格=被選挙権との関係では二重国籍を問題にしていない、との解釈が基本になります(いわば「条文文言そのまま」の解釈)。
もちろん、様々な実質的な考慮から上記の基本とは異なる解釈が(多くは裁判所によって)なされることもあります。ただ、その際には、「条文文言そのまま」の解釈とは異なる解釈をする理由がシビアに求められるため、判決等でかなりのボリュームの理由付けが述べられます。
上記のような意味で、「法律は条文文言が決定的に大事」ということになります。我々弁護士等法律に携わる人が「六法」なる法文集をいつもペラペラめくっているのもそこに理由があります。