弁護士由井照彦のブログ

法律の視点からの社会・事件やリーガルリサーチについて

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国籍を選択する・離脱するとはどういうことか。

政治的立場と絡めて色々と議論がありますが、前提となる法律の規定を見ておくと、まず、
国籍法2条「子は、次の場合には、日本国民とする。一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。(略)」
であり、親が日本国民であれば、子は日本国籍を取得します。

その上で、

国籍法第14条「①外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。②日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。」

と規定しています。
つまり、日本国籍選択の方法としてⅰ)外国の国籍の離脱によること、ⅱ)選択の宣言によること、の2通りの方法を認めていることになります。

ここで、ⅰ)外国国籍の離脱による場合は、当該外国の国籍離脱証明書の提出が必要であり、蓮舫氏は結果的に台湾籍が残っていたのですから、この方法はとっていない可能性が高いと思われます。

したがって、ⅱ)選択の宣言によって日本国籍を選択した可能性が高いと思われます。
ここにいう「日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言」については、

戸籍法104条の2「日本の国籍の選択の宣言は、その宣言をしようとする者が、その旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。」

とされており、あくまでも我が国内での手続き=届出が要求されるているにとどまり、外国において国籍を放棄する手続きの履行は国籍選択の宣言とは別の手続き・問題です(だからこそ、ⅰ)の外国国籍離脱とは別の方法として定められている)。

そして、外国における国籍放棄については、

国籍法16条「①選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。」

と努力規定を定めており、蓮舫氏はこの努力義務との関係で問題が生じていることになります。

この努力義務を蓮舫氏がどの程度果たしていたか(果たしていなかったか)について、具体的な事実の流れや野党党首を目指す政治家という立場との関係等色々と議論があり得るものと思われます。

 

http:// http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160913-00000043-jij-pol

 

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